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【ザバクサ】抗菌薬の新薬⁉ザバクサについて薬剤師が解説します!

こんにちは。

くすりドクターです。

 

 

2019年6月25日に発売されたザバクサ配合点滴静注用について書いていきたいと思います。

 

泌尿器科のドクターからザバクサを使用したいと新規採用薬の申請があり、当院でもザバクサの採用が決まりました。自分なりに調べましたので書いていきたいと思います。

それではいきましょう。

 

 

商品名

ザバクサ®配合点滴静注用

 

 

成分名

タゾバクタムナトリウム+セフトロザン硫酸塩
(略語:TAZ/CTLZ)

 

 

薬価

6335円/本

 

 

特徴

セフトロザン硫酸塩は第5世代セフェム系に分類される

国内で注射用としては24年ぶりに登場した新規セフェム系抗菌薬

 

 

適応菌種

レンサ球菌、大腸菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス属、緑膿菌、シトロバクター

 

 

適応症

膀胱炎、腹膜炎、腹腔内腫瘍、胆嚢炎、肝腫瘍、腎盂腎炎、肺炎、敗血症

 

 

用法用量

<膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、肝膿瘍>

通常、成人には1回1.5gを1日3回60分かけて点滴静注します。
なお、腹膜炎、腹腔内膿傷、胆嚢炎、肝膿傷に対しては、メトロニダゾール注射液と併用すること。

 

<敗血症、肺炎>
通常、成人には1回3gを1日3回60分かけて点滴静注します。

 

 

副作用

主な副作用として、 ALT・AST増加、下痢、悪心、γ-GTP増加、頭痛などが報告されています。

重大な副作用として
ショック、アナフィラキシー(頻度不明)
クロストリジウム・ディフィシレ大腸炎(0.5%)
急性腎障害(頻度不明)

などがあります

 

 

ザバクサの第一印象

 

膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、肝膿瘍に適応がある為、泌尿器科、外科、消化器科が使用されると予測されます。

 

AID/JSC感染症治療ガイドライン2019にもザバクサが記載されています。

 

敗血症、肺炎は2019年12月20日に適応が追加されて、これから使用されるケースが増えていくのかなと考えられます。

 

ザバクサの位置づけとしては、カルバペネム系の代わりと考えている。

 

ESBL、緑膿菌考慮して嫌気性菌のカバーはいらない時に、ザバクサを使用→カルバペネムの使用量を軽減→カルバペネムの感受性を残すことに寄与するって流れかな。

 

腹膜炎、腹腔内膿傷、胆嚢炎、肝膿傷に対しては、メトロニダゾール注射液と併用するから難儀です。PIPC/TAZで良いのかなって思います。

 

 

私の考え

結論から言えば、ザバクサは必要がない気がします。

理由は、薬価が高い。他の抗菌薬で代替可能。使いずらい。

 

薬価

常用量であれば、

膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、肝膿瘍

1.5g(1本)を1日3回、6335x3で19005円/日

敗血症、肺炎

3.0g(2本)を1日3回、6335x6で38010円/日

もしDPC対象患者なら病院負担になります。採用にあたり医事課との連携も考えていかなければなりません。

 

 

他の抗菌薬でもOK?

ESBL、緑膿菌考慮して嫌気性菌のカバーはいらない時に、ザバクサを使用する事がポイントと考えている。

でも緑膿菌ならCAZやCFPM、ESBLならCMZやPIPC/TAZで対応する。だから、ザバクサを使用する大きなメリットが感じれれない。

 

 

使いずらい?

水分負荷をあまりかけられない場合はザバクサの使用は難しい。


ザバクサの添付文書には下記のようにCCr(クレアチニンリアランス)別の推奨投与量が記載されています。

 

CCr30-50→750mgx3
CCr15-29→375mgx3
HD→150mgx3(初回のみ750mg)

 

1日3回投与が推奨されています。添付文書上にはそれぞれの用量分を生食100mL or 5%ブドウ糖100mLにて希釈となっている為、300mL/日の水分負荷がかかります。


また、メトロニダゾールの注射液と併用する場合、メトロニダゾールの推奨投与量が500mgx3~4ですので、更に300-400mL/日の水分負荷がかかります。

 

腎不全や心不全の患者には使いずらい。そもそも100mlに希釈する根拠は?今度MRさんに聴いてみたいと思います。

 

あと、ザバクサは冷所保存ってとこも気になります。

 

 

最後に

2月にMRさん にザバクサの説明会をしてもらうので、疑問点は質問して解決したいと思う。また、ザバクサの運用の仕方は医師、薬剤師、医事課で話合い決めたいと思う。医療もワンチームです!