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【抗菌薬】第3世代セフェム系経口抗菌薬は有用であるのか?現役薬剤師が解説します。

こんにちは。

くすりドクターです。

 

現在世界的な問題となっている薬剤耐性菌(AMR)。2020年までに抗菌薬の使用量を33%削減すると定めた日本の薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン。

今年が対策に取り組んできた成果を確認する年である。

 

当院もASTを立ち上げ、抗菌薬適正使用に取り組んできた。

第3世代セフェム系抗菌薬の処方量削減は多くの病院でも取り組んできた対策であり、学会での発表も多くあった。

 

私の第3世代セフェム系経口抗菌薬に対する意見を書きたいと思います。

それではいきましょう。

 

 

結論からいうと、第3世代セフェム系経口抗菌薬は不要であると考える。

理由としては、薬物動態、耐性菌、副作用の点から不要である。

一つずつ具体的に説明していきます。

 

【薬物動態】

・バイオアベイラビリティが低い為、感染部位に十分量の抗菌薬が届かない

・蛋白結合率が高い為、組織への移行や細胞内への透過ができない

・投与量が諸外国と比べて少ない

 

【耐性菌】

・第3世代セフェム系経口抗菌薬開発当初(1990年頃)と比べて細菌の特性が大幅に変わり、細菌の薬剤感受性が低い

 

【副作用】

・クロストリジウムディフィシル感染症のリスク高い

・ピボキシル基によるカルニチン欠乏症がある

 

以上3点の理由より第3世代セフェム系経口抗菌薬は不要であると考える。

 

当院では、クリニカルパスに含まれている第3世代セフェム系経口抗菌薬の削除、代替薬への変更を行った。また、当院採用の第3世代セフェム系経口抗菌薬をセフジニルの1剤のみとした。

 

今回は薬剤耐性対策アクションプランの成果目標を達成する為に行動してきたが、継続的に抗菌薬適正使用を行っていきたいと考えます。継続的に抗菌薬適正使用を行う事もアクションプランの狙いだと思う。